景気の見方読み方
Aug.10

2010.8.1

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エコカー減税は延長すべき

はじめに> <エコカー減税は一石数鳥> <構造改革も進む


<はじめに>
 

景気は相変わらず回復を続けています。円高などの撹乱要因はありますが、現状程度であれば、回復のモメンタムを逆転させる事はないでしょう。
こうした景気動向を背景に、エコカー減税が予定どおり9月末で打ち切られる可能性が高まっています。今回は、これについて考えてみましょう。

<エコカー減税は一石数鳥>up
 

エコカー減税は、一石数鳥の効果があります。以下、主な点を挙げてみましょう。
第一に景気対策として重要です。リーマン・ショック以降、対米を中心とした輸出の急減で最も痛手を被ったのは自動車産業ですから、これを回復させる事が、景気回復として必要です。
他の景気対策と比較しても、費用対効果は比較的大きいと考えられます。減税は一部が貯蓄に回りますし、公共投資などは全額政府の出費で賄われますが、エコカー減税は、呼び水としての役割だけで、出費の大層は消費者が負担するからです。(実際には、エコカー減税が無くてもエコカーを買うつもりだった消費者が存在するため、その部分は差し引く必要がありますが)。

第二に、エコカー減税は、燃費の悪い車から燃費の良い車への買い替えを促すことにより、日本経済の省エネを促進します。これにより、日本のCO2排出量が削減でき、地球温暖化対策を真剣に行なっている国としての面目が保てます。
地球環境と並んで、日本自身のためにも、省エネは大いに望ましいことです。CO2と同時に排出される排気ガスは、大都市住民の健康を害するなど、様々な問題を引き起こしますから、省エネは日本人の健康にも資するでしょう。
経済的にも、アラブの王様から日本国内への所得移転をもたらします。消費者としては、「高い自動車と安いガソリン代」は「安い自動車と高いガソリン代」と選ぶ所がありませんが、ガソリン代がアラブの王様の懐に入るのに対し、自動車の省エネ部品の代金は、日本の自動車部品メーカー(及びその従業員)の懐に入ることになるからです。
将来的には、中国経済の更なる発展などにより、原油価格が大幅に上昇し、あるいは石油ショック的な出来事が起きないとも限りません。そうした場合の日本経済の耐久力を増すという意味でも、省エネは重要です。

第三に、エコカー減税は成長戦略の柱となり得るものです。エコカーは、現段階では技術的に未熟で発展途上にありますが、今後10年程度の間に爆発的に広がっていく、極めて市場規模の大きな商品です。こうした分野においては、早期に生産量を増やした企業が圧倒的に有利です。量産によるコストダウンが見込めるほか、生産量が増えると経験値が上がって技術的な改良も進むという傾向があるからです。加えて、早期に市場シェアを押さえれば、「エコカーなら日本車」といったブランドイメージを確立する事が出来るかもしれず、更には部品の規格などでも世界標準が取れるかもしれません。

こうした商品に対して、減税等による需要喚起策を採る事は、量産を可能とするため、日本の自動車産業にとって極めて大きな意味のある政策だと言えるでしょう。
<構造改革も進む>up
 

エコカー減税を行なった場合と行なわなかった場合を比較すると、行なった場合の方が、「構造改革」も進みます。ここで構造改革とは、サプライサイドの好む日本経済の効率化、生産性向上、などを指すものとします。
ケースとして、@エコカー減税を行なう、Aエコカー減税の代わりに公共投資を行う、B何も行なわずに財政再建を目指す、のケースを比べてみましょう。
Aと比べて@が日本経済の効率化、生産性向上に資する事は明白でしょう。Bと比べても、資源が最先端産業に流れるように誘導するわけですから、構造改革が進む事は明白です。
Bとの比較は、それだけではありません。景気回復それ自体が日本経済を効率化し、生産性を向上させるのです。景気がよければ、設備投資が行なわれ、その時点で最新の技術を用いた生産設備などが活用されることになるからです。

Bには、いま一つの問題もあります。景気が悪ければ、新卒の学生が就職できずにフリーターになってしまうでしょう。日本の労働市場に於いて、一度フリーターになった人材が活用される事は難しいので、不況は一時的なものであっても、その時にフリーター化した労働力は、永遠に活用されなくなってしまうわけです。これは日本経済の長期的な成長力を大きく損なう事態です。

以上のように考えると、エコカー減税は大変に望ましい施策であり、少なくとも日本車の過半がエコカーとなるまでの間は継続する、といった姿勢が望まれます。


今回は以上です。
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