景気の見方読み方
July.10

2010.7.1

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「中国の生産コスト上昇を歓迎する」

はじめに> <労働コストの上昇> <人民元の切り上げ


<はじめに>
 

景気は、相変わらず順調に回復を続けています。輸出数量は、すでにリーマン・ショック以前の水準に近い所まで戻って来ました。今次不況の元凶が取り除かれたわけですから、あとは国内需要の自律的な回復を待つだけです。そこで今回は、少し長い目で中国の生産コスト上昇の日本経済への影響を考えてみましょう。

<労働コストの上昇>up
 

中国の労働者の賃金が上昇しているようです。賃上げを要求するストライキが頻発しているとも聞きます。これは、当事者の企業にとっては大変な事でしょうが、日本経済全体を考える上では大変望ましいことです。
日本の高度成長期にも、人件費は上昇しました。それが個人消費を増加させ、更なる経済の発展に繋がったのです。これと同様に、現在の中国でもようやく人件費が上昇しはじめ、個人消費が爆発的に増加する時期を迎えているのです。これは、今後の中国が日本企業にとって一層巨大な市場に育っていくことを意味しています。
中国の人件費上昇は、中国製品の値上がりにつながりますから、中国からの輸入品に苦しめられている日本企業にとって、干天の慈雨となるでしょう。従来は、「品質は悪いが値段の安い中国製品」と「値段は高いが品質の良い日本製品」という棲み分けが出来ていましたが、最近では中国製品の品質が向上してきたので、価格が上昇してもらわないと、日本の国内産業にとって大変苦しい事態に陥りかねないからです。
中国に進出している日系企業の工場が困ると言う話を耳にしますが、気にする必要はありません。外国に出て行った日本企業の工場の利益は、日本経済の利益ではないので、混同しないように注意する必要があります。むしろ、彼らが困って日本に工場を戻すことになれば、それこそ日本経済の利益なのです。(実際には、人件費も上昇するが、中国国内向けの売上も増えるので、進出企業はそれほど困らないと思いますが・・・)
中国からの輸入品が値上がりすると日本の消費者が困るという人もいますが、それも気にする必要はありません。日本製品を買わずに中国製品を買うという行為は日本人の雇用を破壊する行為ですから、中国製品の値上がりによって日本の消費者が日本製品を買うようになれば、それは日本経済にとって大いにプラスなのです。
中国にある日系企業の工場がタイやベトナムに移れば、それも悪い事ではありません。日系企業の利益は減らず、日本の消費者の懐は痛まず、中国の個人消費が盛り上がった分だけ日本からの輸出が増えることになるからです。

いずれにしても、中国人の賃金が上昇しているというニュースは、日本経済の見通しを明るくするものなのです。
<人民元の切り上げ>up
 

人民元の切り上げも、基本的には同じです。中国で生産して日本に輸出している日系企業にとってはコスト上昇要因ですが、これは日本で操業している日本企業の工場にとっては有難いことですから、日本経済にとっては大きなプラスです。
日本人消費者にとって中国製品が値上がることも、日本企業にとって、日本の失業問題にとって、大きなプラスですから、日本経済にとって大きなプラスです。
100円だった中国製品が値上がったので、消費者が200円の日本製品を買うことになった場合の影響を考えてみましょう。日本人が中国製品を買うという事は、(原材料費の事を考えないことにすれば)中国人の労働者を間接的に雇うという事です。日本人消費者の損害は100円ですが、失業していた日本人が200円の給料をもらえるので、日本人全体としては100円の得だ、ということになるわけです。差額の100円は、中国人の消費者が失業して給料が減る分です。(中国は、景気が良いので、失業した人も次の仕事がすぐ見つかるでしょう。したがって、実際には中国もそれほど困らない、ということになりそうですが・・・)。

中国と日本の人件費が何倍も違うことを考えれば、中国の人件費上昇も人民元の切り上げも、短期的な影響は限定的かもしれませんが、こうした傾向は中長期的にも続くでしょうから、当分の間、日本経済にとってプラスの影響が続くでしょう。

マスコミは悲観論が好きですから、困った困ったと言いますが、惑わされないように注意する必要があるでしょう。

今回は以上です。
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