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景気の見方読み方
July.07

2007.7.1

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「需要の強さは七難隠す」

はじめに> <構造問題の緩和> <日本経済の効率化


はじめに
 

景気は相変わらず順調な拡大を続けています。90年代に構造問題だとされていたことの多くは、気が付いてみると最近話題に上らなくなっていますが、これは景気回復のおかげのようです。今回は、需要の強さの有難さについて考えてみましょう。

構造問題の緩和up

 

小泉内閣が登場した頃、日本経済は構造問題を抱えているからダメなんだと言われていました。しかし、最近では構造問題という言葉をほとんど耳にしなくなりました。構造問題という言葉自体が、「経済を不振に陥らせている根本的な原因」といった意味ですから、人によって何を指すのかは異なっていたようですが、いずれにしても経済が不振でなくなれば言葉自体が使われなくなるということでしょう。
しかし、それだけではありません。実際にも、このところ、不良債権問題、財政赤字、といった日本経済の諸問題が急速に改善しつつあります。不良債権が減ったのは、銀行が処理したということもありますが、主な原因は景気が回復したからです。景気が悪化を続けている時に不良債権を処理しても、それが不況を深刻化させて新たな不良債権を生むことになるからです。財政赤字が減ったのは、政府が財政再建に励んだこともありますが、主な原因は景気が回復したことです。不況時に財政再建を進めれば、不況が一層深刻化して結局財政出動が必要になるからです。
思い起こせば、小泉内閣発足当時は、企業が設備の過剰、人員の過剰、借金の過剰、という「三つの過剰」を抱えていると言われていましたが、今では設備も人員も不足気味です。これは、景気回復のおかげです。
終身雇用、年功序列賃金制、といった日本的雇用慣行まで問題とされ、中高年はリストラの対象と言われていましたが、今では団塊の世代の大量退職が問題とされています。これも、日本的雇用慣行が変わったのではなく、景気が回復したことの結果です。失業が減り、雇用不安が和らぎ、就職氷河期が去ったのも、景気が回復したからです。

このように、景気の回復には様々な問題を解決してくれる効果がありますが、景気回復の恩恵は、それだけではありません。日本経済を効率化させるという構造改革的な効果も持っているのです。
日本経済の効率化up
 

資源が生産性の低い分野から生産性の高い分野に流れるのが構造改革だという観点からすれば、景気回復により公共投資の必要性が減り、そこで用いられていた資源が有効に活用されるようになりつつあります。更に、これまで活用されていなかった資源も活用されるようになりつつあります。人手不足から女性や高齢者の活用が広がりはじめ、就職氷河期にフリーターにならざるを得なかった人々にも正社員のチャンスが出てきはじめています。これは、構造改善と呼ぶのでしょうか。
設備投資も好調です。新規投資であれ更新投資であれ、設備投資が活発化すれば、最新鋭の技術を駆使した設備が日本経済の効率性を高めるでしょう。起業も増えるかもしれません。アイデアと技術はあっても需要と資金が無くて起業出来なかった人々が、需要が出てきて投資家のマインドも前向きになってきたために起業出来るようになりつつあるからです。
「不況は非効率な企業を淘汰するチャンスだ」などと言っていた人もいましたが、経済が効率化するためには非効率な企業を淘汰するよりも効率的な企業を育てることが重要なのです。
米国のような需要超過経済においては、非効率な企業を淘汰しないと効率的な企業に人員や資金がまわらないという場合があり、米国ではそうした議論は意味がありますが、日本は需要不足経済であって失業者も資金も余り気味なので、そうした議論はむしろ有害なのです。
景気が拡大を続けて人手不足が深刻化したらどうなるでしょうか。それほど心配することはないでしょう。何よりもまず、失業対策として行なわれている公共投資が減るでしょう。それでも足りなくなる頃には、金利も上がって非効率な企業は淘汰されていくでしょう。銀行も、安心して不良債権を処理するようになるでしょう。「景気が回復しても借金が返せないような非効率な企業は潰したい」と考えた時に、「潰しても社員が路頭に迷うおそれがないので生かしておく理由がなくなった」ことに気付くからです。

もちろん、問題が無いわけではありません。日本経済には難問が数多くあるため、需要の強さが七難隠しても、隠し切れない問題が数多く残っています。しかし、問題点ばかり指摘していても仕方ありません。景気回復がなるべく長く続いて、隠れていた七難が現れる時期が遅くなるように祈ることにしましょう。
 
今回は以上です。なお、年金不安の高まりによって、感覚的には経済がうまく行っているという感じがしませんが、これは隠れていた問題が表面化したからであって、実態が悪化しているわけではありませんので、今回はこの問題には触れないことにしました。あしからず。
 
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