もっとも、米国経済が減速することにはプラスの面もあるでしょう。第一に、過熱気味の中国経済に対する冷却効果が見込まれます。中国経済に関しては、成長が速すぎることと経常収支黒字が大きすぎることが問題点として指摘されていますから、対米輸出の減速はこうした問題点を緩和し、中国経済を安定させることに貢献するでしょう。
第二に、資源価格を安定させる効果が見込まれます。中国経済の過熱が沈静化することで世界的な資源需給も落ち着くということが期待されます。加えて、たとえば世界の原油価格がWTIに基づいて決まり、WTIが米国内のガソリン需給の影響を強く受けるという構造を考えると、米国景気の減速が原油価格に与える影響は予想以上に大きなものとなる可能性もあるでしょう。
米国景気の減速は、米国の利下げ期待から米国株高、ドル安をもたらす可能性があります。米国株高は世界的な株高を通じて世界の景気にプラスに作用するでしょう。ドル安は、(不思議なことに対円でドル安になっていないことを考えると)、日本の外需にプラスに働くでしょう。
こうしてみると、米国景気減速の直接の影響は比較的大きいとしても、それを打ち消す効果も見込まれるため、日本経済の方向を変えるほどの力にはなりそうもありません。
もっとも、米国経済が減速にとどまらずに後退しはじめた場合には、この限りではないでしょう。引き続き、日本経済に関するリスクとしては、米国経済に注目しておく必要はあるように思います。
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