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景気の見方読み方
May.07

2007.5.12

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「米国経済減速の影響」

はじめに> <米国景気の減速
米国の対日輸入> <プラス効果


はじめに
  国内の景気は相変わらず順調に推移しています。強いて言えば米国経済の減速がどのように影響するのかが気になりますので、今回は米国発の影響について考えてみました。
米国景気の減速up
 

米国の景気が減速しており、成長率は昨年の3%強から今年は2%強になると言われています。ここで留意が必要なのは、「米国の輸入の伸びが3%強から2%強に鈍化する」というわけではないということです。
経済成長率とはGDPの伸び率であり、GDPとは国内生産です。一般に需要が減少した際にはサービス需要よりも財需要の方が大きく落ち込む傾向がありますから、米国のように経済がサービス化した国では、国内需要が減速しても国内生産はあまり落ち込まず、海外からの輸入が落ち込むことになります。そうだとすれば、国内生産が1%落ち込む間には海外からの輸入が比較的大幅に落ち込むはずです。今一つ、国内生産と海外生産を両方行なっている多国籍企業は、国内需要の落込みに対して国内生産減よりも輸入減で対応するかもしれません。そうであれば、国内生産が小幅に落ち込む間に輸入が大きく落ち込むということは、製造業内部でも起り得るということになります。
米国のITバブルが崩壊した際に、海外経済に大きな影響が出ましたが、その一因は米国経済のサービス化にあったというわけです。

米国の対日輸入
 

米国の輸入が減ると日本の対米輸出も減ります。日本から直接に輸出されるものに加え、アジア製品の心臓部の部品なども日本製のものが多いでしょうから、この部分も影響を受けるでしょう。加えて、アジア向けの資本財の輸出も影響を受けるでしょう。対米輸出が増えればアジアの設備投資が増え、設備機械は日本から輸入されるものも多いでしょうから、これが止まってしまう影響は大きなものがあるでしょう。問題は、日本の資本財輸出の落込み方は米国の輸入の落込み方よりも激しいものとなりかねないことです。数値例として極端な場合を挙げれば、米国の輸入が前年比ゼロ(=前年並み)であればアジア諸国の能力増強は不要で、そのための設備投資はゼロですから、日本からの設備機械の輸入は前年比マイナス100%となるわけです。
米国のITバブル崩壊の際に、日本経済に大きな影響がありましたが、その一因はこうした所にあったというわけです。


プラス効果up
 

もっとも、米国経済が減速することにはプラスの面もあるでしょう。第一に、過熱気味の中国経済に対する冷却効果が見込まれます。中国経済に関しては、成長が速すぎることと経常収支黒字が大きすぎることが問題点として指摘されていますから、対米輸出の減速はこうした問題点を緩和し、中国経済を安定させることに貢献するでしょう。
第二に、資源価格を安定させる効果が見込まれます。中国経済の過熱が沈静化することで世界的な資源需給も落ち着くということが期待されます。加えて、たとえば世界の原油価格がWTIに基づいて決まり、WTIが米国内のガソリン需給の影響を強く受けるという構造を考えると、米国景気の減速が原油価格に与える影響は予想以上に大きなものとなる可能性もあるでしょう。
米国景気の減速は、米国の利下げ期待から米国株高、ドル安をもたらす可能性があります。米国株高は世界的な株高を通じて世界の景気にプラスに作用するでしょう。ドル安は、(不思議なことに対円でドル安になっていないことを考えると)、日本の外需にプラスに働くでしょう。

こうしてみると、米国景気減速の直接の影響は比較的大きいとしても、それを打ち消す効果も見込まれるため、日本経済の方向を変えるほどの力にはなりそうもありません。
もっとも、米国経済が減速にとどまらずに後退しはじめた場合には、この限りではないでしょう。引き続き、日本経済に関するリスクとしては、米国経済に注目しておく必要はあるように思います。

 

今回は以上です。

 
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