景気が拡大を続けるというだけではなく、今年は団塊世代の引退が本格化する年です。団塊世代が引退し、労働力市場に参入するのが団塊世代よりもはるかに人数も勤勉さも少ない世代だということは、長い目で見れば日本経済の発展性を制約するものでありますが、今後数年間に限ってみれば、これがプラスに作用する可能性が高いと思われます。需要不足の経済から供給不足の経済への移行期にちょうど需要と供給が均衡するからです。まるで、近視の中年が老眼が始まると一時的に視力が回復するのと同様の現象でしょう。そうだとすると、今後数年間が日本経済にとって「最後の黄金時代」だということになりそうです。
団塊世代の引退がもたらす影響は、一義的には供給力を下げて本源的な需要不足を緩和することですが、それ以外にも日本経済へのプラス効果が見込まれます。団塊世代が退職金を受け取り、時間的な余裕が出来、しかも再就職が見つかって老後の生活にも目処が立つとすれば、消費を活発化するでしょう。一方で、企業は人件費の高い団塊世代が退職して彼等を再雇用したり若年層を採用したりすれば、収益に大きく貢献するでしょう。退職金は受け取る団塊世代にとっては所得ですが、支払う企業にとっては引当金の取り崩しであって費用ではないということが、景気にプラスに働くというわけです。
団塊世代が退職し終わった後にどのような経済が待っているのかという点については、別の機会に考えるとして、とりあえずそれまでの数年間、大きな外的ショックを受けずに日本経済が黄金時代を謳歌できること、そして今年がその元年となることを期待しましょう。
(注)ちなみに、日本経済が本質的に需要不足経済であるという認識は極めて重要です。景気がよくて需要超過だと思われる時期においても、財政収支を均衡させるほどの増税を行ない、純輸出がゼロになるほど海外景気が減速すれば、日本経済は極度の需要不足に陥るでしょう。従来は、好況期と言えども財政赤字と純輸出という竹馬に乗った状態での需要超過だったわけです。米国では金融緩和が効くのに日本では効きにくいのは、日本経済が本質的に需要不足経済だからでしょうし、日本政府が円高恐怖症なのも需要超過によるインフレよりも需要不足による不況が怖いという需要不足経済だからという面が強いのでしょう。
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