| 多くの人が、景気過熱が将来の失速に繋がることを心配しています。日本のバブルと重ね合わせているような議論も見られますが、その心配は小さいでしょう。日本のバブルは、不動産価格が高騰した後に暴落したという面と、設備投資が著増した後に需要が激減したという面が重なって大きな爪痕を残したわけですが、中国で同様の事態が生じる可能性は少ないでしょう。
名目成長率が二桁の経済において、不動産価格が20%上昇したからといって、「明らかな上がり過ぎで調整不可避」と考える必要はありません。仮に不動産価格が調整したとしても、しばらくすれば名目GDPが増加して地価を再び押し上げてくれるでしょうから、日本のバブル崩壊時のように地価が下落し続ける心配はありません。
過剰設備の問題についても、しばらくすれば経済成長により需要が増加して「過剰」な設備が活用されるようになるでしょうから、これも日本のバブル期の過剰設備が結局使われずに廃棄されたというようなことにはなりそうもありません。
そもそも中国経済を「過熱」と表現すること自体にも問題があります。失業率が高く物価上昇率が低い中で、経済の一部が過熱しているとしても、経済全体が過熱していて急いで冷やさなくてはならないような状態とは言えません。設備に関しても、過剰が心配されている部分と不足が指摘されている部分があり、過剰部分の投資が減少する一方で不足部分の投資は増加することも見込まれており、経済がバランスを調整しながら全体として拡大していくというプロセスだと考えれば、過剰な心配は不要です。
不良債権についても、たしかに巨額ではありますが、日本のバブル崩壊による不良債権問題と重ねあわせる必要はありません。邦銀は純然たる民間企業であり、不良債権問題による損失が資本を減らせば、それが直ちに銀行の倒産やBIS規制による貸し渋りなどに繋がりかねない体制になっていましたが、中国の主要銀行は国有であり、自己資本の毀損分は政府が埋めてくれますので、不良債権が倒産や貸し渋りに直結するわけではありません。日本でも政府系金融機関の不良債権が金融危機を招くと心配する人はいないでしょう。
そもそも中国の国有企業が福祉などの機能を担ってきたことを考えると、本来財政支出となるべきものが国有企業の赤字となって溜まってきたと言えるわけです。その赤字が国有銀行の不良債権となっていて、その不良債権を処理したことによって国有銀行が自己資本不足に陥れば政府が穴埋めしてくれるということは、もともと財政で支出されるべきであった支出が結局財政で支出されることになったというだけのことでしょう
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