以下は、私が文章を書く際の手法です。御参考になれば幸いです。私は、まず要旨を書きます。自分の頭を整理するのが主目的ですが、要旨を書いてあると、文章が途中で振れないのです。「そうかもしれないし、そうでないかもしれないし、やはりそうであるとも考えられる」というように、書き手が動揺していれば、読み手はさらに動揺するでしょうから、この手の文章は厳に避けるべきです。
学部のレポート程度の長さであれば、要旨は提出しない場合も多いでしょうが、それでも要旨を作ることは決して無駄ではないのです。要旨をつけてレポートを出す場合には、要旨で印象が大きく変わりますから、要旨部分は特に気合を入れて書きましょう。「まず要旨を書き、それを見ながら本文を書き、それを見ながら気合を入れて要旨を書き直し、それを何度も推敲する」というくらいで丁度よいでしょう。社会人の書く「読んでいただく」書類では、要旨の出来が悪いと本文に目を通してもらえない場合も多いということをお忘れなく。
いま一つ私がこころがけていることは、「締切のずっと前に一度書いてみる」ということです。この段階では、真剣に書かなくても、楽な気持ちでとにかく要旨と本文を書いてみます。締切直前に体調を崩してレポートが提出できないという事態を避けるためのリスク管理という意味もありますが、他にも重要なメリットが多数あります。
メリットの第一は、自分が何がわかっていて、何を追加で調べなければわからないかが明確になるということです。漠然と資料を読んでいるだけでは、締切直前になって文章を書いてみてから大事なことを調べ忘れていたことに気付く場合が少なくありません。「2ページのレポートを書くのに、20ページ分の資料を集めたが、肝心の点が抜けていた」というのでは、何のために努力をしたのか、泣きたくなってしまうでしょう。
メリットの第二は、自分の書いた文章を、何日か置いてから読み直してみると、客観的な目、あるいは読み手の目で見れて、欠点がよく見えるということです。「夜中に書いたラブレターを翌朝読み直したら、到底投函する気になれなかった」という経験をお持ちの方もいると思いますが、時が経つということは、ワインが熟成するのに必要なだけではなく、文章が熟成されるにも必要なのかもしれません。
なお、理想を言えば、「とりあえず書いてみた」原稿を手直しするのではなく、以前の原稿を参考にして一から書きなおすことをお勧めします。私をふくめて(おそらく皆さんも含めて)人間は怠慢な動物ですから、もとの文章を手直しするとなると、最低限の手直しですませようとし、結局ツギハギだらけの読みにくい文章になってしまいがちです。ちなみに私は、「とりあえず書いてみた」原稿は、刷り出しだけを残してワードのファイルは消去してしまうことにしています。そうしないと、どうしても怠慢な自分が手直しを始めてしまうような気がしているので。
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