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景気の見方読み方
Nov.05

2005.11.1

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「過去5年の回顧と展望」

はじめに> <ITバブル崩壊> <小泉改革> <デフレ脱却
景気強気論> <日本経済の復活> <今後もおおむね順調か


はじめに
  おかげさまで、当サイトは5周年を迎えました。つきましては、過去5年間の経済情勢を回顧し、今後の展望についても考えてみたいと思います
ITバブル崩壊up
 

当サイトが立ち上がったのは2000年11月です。その頃、米国ではITバブルが崩壊した影響が現れはじめていましたが、世の中では米国経済はソフトランディングする、あるいはV字型の回復をするといった強気な見方が圧倒的でした。私は「米国経済の専門家達は楽観的すぎるのではないか」と考えていました。結果的には、多数説は下方修正をし続けることになりましたので、私が当たったといえるのかも知れません。バブル崩壊後の日本も「日本経済が悪くなるはずがない」というユーフォリアに支配されていましたから、同じ事が米国でも起きていたということなのでしょう。
もっとも、私の大きな反省点は、「米国の景気が後退しても日本の景気は大丈夫だろう」と考えていたことです。「90年代を通じて日米景気の連動性は小さくなっている。経済のサービス化で今後も一層連動性は薄れていくだろう」と考えていたのです。しかし、実際には米国景気の落ち込みが日本経済に大きなダメージを与えました。これはおそらく、米国経済のサービス化が「需要変動の大きい財の供給源をアジアに移したため、米国の需要が減るとアジアの輸出が大きく落ち込む。アジアに資本財や投資財を供給している日本の輸出はさらに増幅された形で落ち込む」ということであったのでしょう。(2005年1月「それでも景気は回復する」のおまけ2、3御参照)。

小泉改革
 

2001年に構造改革を掲げた小泉政権が発足しました。私は「骨太の方針」の内容および背景となっている考え方などを解説した「図解 よくわかる構造改革」を上梓しましたが、構造改革によって大不況が来るのではないかと大いに心配していました。骨太の方針には「財政赤字は削減する」「借金が返せないような情けない企業は潰れた方が日本経済のためだ」といった「市場原理主義」が充満していたからです。
しかし、実際には財政赤字は大幅に拡大しましたし、不振企業も「淘汰」ではなく「再生」させるという方針に変更されたなど、改革は大幅に軟化しました。こうした現実的な対応の結果、景気は筆者の予想に反しておおむね順調に回復しました。
これについては、景気を読み間違えたというよりも、政策が変化したということで、筆者としては「外部環境の変化による予測のはずれだから大目に見て欲しい」という言訳をしたい気分です。

デフレ脱却up
 

03年7月には、「もはやデフレではない?」を執筆し、景気は悪くないのではないかという認識のもと、デフレが終了している可能性を指摘しています。
これは、それまでの失敗を補うヒットであったと自画自賛しています。実際には消費者物価は前年比でわずかなマイナスが続いたため、定義的にはデフレは終了していなかったわけですが、これをデフレだというのは「海の水を一口飲んだら海の水が減る」と言い張るのと同様に滑稽なことであって、大局観からすれば当然に「実質的にはデフレは終わっている」と理解するべきでしょう。

景気強気論up
 

前回の景気の谷は02年1月だそうですが、筆者が弱気論を翻して景気に強気に転じたのは、りそな銀行の救済によって改革路線の軟化が明らかになった時です。はじめのうちは、強気の材料を挙げつつも弱気の材料にも目配りをしていましたが、2004年1月には「今年は景気の底堅め」で比較的明確に景気強気論を展開しています。
これも今思えばヒットであったのですが、みそがついたのは、筆が滑って「イメージとしては年内に15000円程度まであるのではないかという気がしています。」と記してしまった事です。「来年末までに」と記しておけばよかったのでしょうが、いずれにしてもファンダメンタルを見ているエコノミストが不用意に相場見通しに口を出すと怪我をするという改めての教訓でありました。

日本経済の復活up
 

今次景気回復局面の特徴は、単に景気が回復に向かったということにとどまらず、90年代の失われた10年からの脱却が見えて来たということでしょう。金融システム不安は払拭されましたし、企業がバブル期に抱え込んだ「設備、人員、負債」の過剰もおおむね解消しました。都心の地価が反転上昇に転じたことも象徴的でしょう。しかし、何と言っても重要なのは、日本経済に関する極端な悲観論が消えたことだと思います。バブル期に傲慢になりすぎた日本人がバブル崩壊後に卑屈になりすぎ、両極端に振れた振り子がようやくバランスのとれたところに戻ってきたというところでしょうか。

今後もおおむね順調かup
 

日本経済は、順調な回復軌道に乗っており、「景気というものは、ひとたび回復に向かうと止める力が働くまでは回復・拡大を続けるものである」ことを考えると、今後も当分の間は順調な拡大を続ける可能性が高いように思います。
懸念材料としては、やはり原油価格がさらに大幅に上昇するリスクが挙げられるでしょう。その場合でも、日本経済に与える直接の影響はそれほど深刻ではないでしょうが、原油高が一層進んだ場合には、それによる米国や中国の景気減速が日本の輸出などを抑制するといった経路が懸念されます。
もっとも、米国と中国の景気が鈍化すれば原油価格も下がるので、自動調節機能が働くという考え方もあり得ます。どこまで期待できるかは未知数ですが、少なくとも米国と中国の景気悪化が更なる悪化を招くという負のスパイラルだけは免れそうだと考えてよいかもしれません。
国内要因としては、バランスのとれた成長軌道に乗っており、特段の懸念材料は見当たりません。
こうしたことを考えると、(原油価格がそれほど大幅には上昇しないという前提のもとでは)、日本経済は当分の間順調に拡大し、拡大テンポが緩やかであるが故に拡大期間が長くなるという皮肉によって「いざなぎ景気を抜いて戦後最長の景気拡大」となる可能性が高いように思われます。もっとも、日本経済の状態がいざなぎ景気の当時より良好であるということが言えないのは当然ですが。

   
なお、上記は筆者個人の見解であり、筆者の属する組織などの見解を示すものではありません。また、読者に投資などを勧誘するものでもありません
 
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