| 短期の出張で中国を見てくることは、巨象の尾に触れてくるに等しい危険があります。そこで、見聞きしたことは慎重にフィルターにかける必要があります。
第一に、「上海は中国の中で圧倒的に豊かであるのみならず、景気もよいので、上海だけを見て中国経済を語るのは危険だ」と言うことです。これは多くの人に指摘されました。
ヒアリング先としては、主に日本人にお願いしました。言葉の問題もあるのですが、何よりも短期間の出張で幅広い情報を仕入れるためには、「日本人の聞きたいことを知った上で日本人の理解しやすいような話をしてくださる方、日本と中国を対比して話してくださる方」が有難かったからです。現地に住んでいる日本人の方々が日常の中国人との接触で感じておられることをうかがえば、自分で何人もの中国人の方々に御話をうかがったのと似たような成果が得られるということもあります。中国の方々から直接は伺いにくい本音の部分も住んでおられる方々は何となく察しておられるというメリットもあるでしょう。もっとも、これによって、日本人のバイアスがはいってしまうということは否めませんので注意が必要です。バイアスには二通りあって、「日本人の感性でモノを理解してしまい、中国人の行動パターンを誤解する」といったことのほか、「日本語の媒体に載っている情報が刷り込まれているので、日本語の媒体の誤りや不足部分については筆者と同じ誤りや不足をおかしている」といった可能性もあるわけです。
バブルなどについても、気をつける必要があります。バブルが発生しているところでは、ユーフォリアが支配していて、それと気付かないことがあるからです。ITバブル期の米国経済については、米国にいる米国人がもっとも強気で、米国にいる日本人が次に強気で、日本にいる日本人が最も弱気でした。結果としてみれば、もっとも冷静だった「日本にいる日本人」が傍目八目で当たったわけですから、「出張しない方がよかった」ということになりかねなかったわけです。今次出張に際して、現在の中国経済がバブルであるという印象は受けませんでしたが、こうした印象自体がバイアスかもしれませんので、慎重に判断する必要があるでしょう。
サンプルにも気をつける必要があります。たとえば今回はデパートを見たのですが、その日時が中国人のデパートでの買い物という観点でどういう日なのかを把握しないと、とんでもない誤解をすることになります。外国人が東京に短期出張して、どんな誤解をするだろうかと考えてみればよいわけで、ボーナスサンデーの御歳暮商戦の時のデパートなど、見ない方がよいということもあるでしょう。今回は、上海在住の日本人の方に、そういうことはないはずだと確認しましたので「デパートは混み合っていて、活気がある」という印象はそれほど誤ってはいないと思いますが
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