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景気の見方読み方
Oct.04

2004.10.1

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日本経済の中期展望

要旨> <景気は順調に拡大中> <失われた10年からの脱却
 <中期的に外部環境は良好> <金融緩和と緊縮財政> <個人消費は緩やかな伸び
公共投資は引続き減少> 
設備投資は好調持続> <外需は成長に中立
少子高齢化の悪影響は小> 
中期は順調だが長期は多難


要旨
  日本経済は、おおむね順調な拡大を続けており、景気は力強さを増しつつある。原油価格の高止まり、海外経済の減速といった懸念材料はあるものの、これが景気の腰を折ることは考えにくく、当分の間は景気の拡大局面が持続する可能性が高い。
景気循環の面のみならず、構造面でも明るい材料は多い。金融システム不安は緩和しており、企業の抱える設備、人員、負債の過剰も和らいでいる。日本経済に対する行き過ぎた悲観論も影をひそめた。財政赤字は依然として巨額ではあるが、縮小の兆しが見え始めている。こうした構造面の改善は、循環面の景気拡大との相乗効果が見込まれるため、景気拡大が持続すれば、一層の改善をみせる可能性が高い。
中国との棲み分けが見えてきたことも明るい材料である。中国製品が濁流のように流入してきた恐怖が一服し、最近では日本製品が品質の高さで中国向けに輸出を伸ばしている。
気づいてみれば、過去数年で規制緩和が思いのほか進展し、雇用慣行が変化するなど、日本経済が柔軟性を増していることも、明るい材料と言えるであろう。
財政は緊縮気味に運営されるとともに景気の拡大などを映じて税収は増加していくため、財政赤字は徐々に減少していこう。一方で、金融政策は物価の安定をうけて緩和気味に運営されよう。この結果、長期金利も低水準で推移しよう。
このように、良好な外部環境を前提とすれば日本経済も比較的順調な推移が見込まれるが、外部環境が想定よりも悪化するリスクは小さくない。さらに留意を要するのは、長期的には決して楽観を許すような状況にはないということである。特に、財政のプライマリーバランスを均衡させること、途上国の追い上げに対して産業の競争力を維持していくこと、などの難題が残されることには留意が必要であろう。
〔 経済成長率の需要項目別予測(暦年) 〕
 
(単位:%) 2003年 2004年 2005年 06〜08年
平均
06〜08年
寄与度
個人消費 0.8 3.3 2.3 1.9 1.0
住宅投資 −0.8 1.9 0.4
0.0

0.0
設備投資


9.3

11.2
7.1
5.0

1.0
政府消費 1.0 1.6
1.1

1.0

0.2
公共投資
−10.4

−13.9
−8.1 −5.0
−0.2
輸出 10.1 15.4 8.6
6.0

0.9
輸入
5.0
9.6 9.0
7.5

−0.8
実質GDP
2.4 4.5
2.5

2.0

2.0
景気は順調に拡大中up
  日本経済は、おおむね順調な拡大を続けており、景気は力強さを増しつつある。公共投資は減少が続いているものの、海外経済の好調と為替の安定を映じて輸出が順調に増加しているほか、企業収益の好調や設備稼働率の上昇などを映じて設備投資も増加を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の改善が遅れているにもかかわらず、消費者心理の改善などを受けて回復基調を続けている。この結果、景気全体としては着実に拡大しつつあり、業種間、地域間、企業規模間の景気回復格差も縮まりつつある。
4-6月期のGDPは低い伸びにとどまったが、在庫と公共投資が落ち込む一方で国内民間最終需要は引き続き順調に拡大しており、景気の先行きを懸念させるものとは思われない。
今後についても、在庫が低水準にあること、金融の緩和が続くこと、海外経済がおおむね順調に拡大すると思われること、などを考えると、当分の間は景気の拡大局面が続く可能性が高い。原油高、猛暑効果の剥落、デジタル家電の減速、海外経済の減速、といった懸念材料はあるものの、いずれも景気の腰を折るようなものではなさそうだ。
原油高は、インフレによる引締めにつながるわけでもなく、原油輸入代金の名目GDP比が大幅に低下している(80年4.93%→03年1.07%)ことなどを考えると、影響は比較的軽微であろう。ちなみにIEAの試算によれば、原油価格の10ドル上昇による日本への成長率押し下げ効果は0.4%にとどまるとされている。猛暑効果は、エアコンが売れた一方で外出が手控えられたことなどを総合的に考えるとそれほど大きくはなかった模様で、したがって反動としての落ち込みもそれほど気にする必要はなかろう。デジタル家電の在庫が増加していることは懸念材料であるが、景気に広がりが出てきていることなどを考えると、マクロ的にはそれほど心配な状況ではないようだ。米国景気については、基本的には順調な回復を続ける可能性が高いと思われ、メインシナリオとしては大幅な減速は見込まれない。中国経済については、実態が把握しにくい面はあるが、ハードランディングによって日本からの輸入が激減する可能性は小さいであろう。日本国内の消費者物価は小幅な下落が続いているが、デフレはすでに実質的に終息しており、もはや景気回復の懸念材料とは言えないであろう。
こうした情況に鑑みると、景気循環的にみた拡大局面は当分の間持続する可能性が高い。成長率としては、2004年は4.5%(2004年度は3.8%)程度、2005年は2.5%(2005年度は2.4%)程度が見込まれる。
失われた10年からの脱却up
 

循環的な景気拡大が続いているというのみならず、構造面でも明るい材料は数多い。不良債権問題自体が完全に解決したというわけではないが、これに起因する金融システム不安は、一時期と比べて大幅に緩和されている。企業の抱える設備、人員、負債の過剰も、企業の努力と景気回復の相乗効果によって和らいできた。不動産価格の下落は全体としては持続しているが、都心の地価は下げ止まって上昇に転じている。こうしたことを考えると、日本経済はバブルの後遺症から脱却しつつあると言ってもよいであろう。
バブルの直接の後遺症のみならず、間接的な後遺症とも言える「極端な悲観論」も影をひそめている。たとえば「構造問題がある限り日本の景気はよくならない」「日本経済はグローバルスタンダードでないからダメなんだ」といった見方が一時期流行したが、最近では聞かれなくなった。景気が現実に回復を続けていることに加え、製造業の復権によって、日本を代表する高収益企業で「グローバルスタンダード」を採用していない例が目に付くようになったこと、などが背景にあるのであろう。
間接的な後遺症の今ひとつは財政赤字であるが、これも悪化が止まり、わずかながら改善の兆しも見え始めている。問題が依然として深刻であることは疑いないものの、方向がプラスに転換したこと自体が大変明るい材料である。
こうした構造面での改善は、循環面での景気拡大と相乗効果を持つことが期待される。景気拡大は、不良債権の回収率向上などを通じて金融システム不安を緩和し、企業の設備、人員に対する過剰感を緩和し、日本経済に対する悲観論を後退させ、人々のコンフィデンスを高めるであろう。財政赤字の縮小を通じて長期金利を低位で安定させ、それが利払い負担の抑制や景気拡大を通じて一層の財政赤字の縮小をもたらす効果も期待できよう。
中国との棲み分けが見えてきたことも明るい材料である。中国製品が濁流のように流入してきた恐怖が一服し、最近では日本製品が品質の高さを武器として中国向けに輸出を伸ばしている。予測期間中(2008年まで)を考えれば日中の技術力の格差は厳然として残るであろうから、低付加価値品の輸入と高付加価値品の輸出という形での国際分業が進展していくことは、双方の経済発展にとって望ましいことと言えよう。
気づいてみれば、過去数年で規制緩和が思いのほか進展し、雇用慣行が変化するなど、日本経済は柔軟性を増している。これも、資源の効率的な利用が可能になったという意味で明るい材料と言えるであろう。
こうしたことを考えると、今回の景気拡大は久々の大型景気となるかもしれない。場合によっては失われた10年の反動として「下がりすぎた株価や地価が戻ってくる」「抑えられていた設備投資が一気に出てくる」といったことも起きないとは限らない。予測期間内には循環的な景気後退もおきるであろうが、底流に大きな改善の流れがあれば、軽微な後退の後に再び力強い回復がもたらされるかも知れない。手放しの楽観が許されないことは当然であろうが、さりとて比較的明るい展望を描くこと自体は決して不自然ではないといえよう。

中期的に外部環境は良好up
  本稿が想定している外部環境のメインシナリオは、日本経済にとって比較的望ましいものである。米国経済は、おおむね潜在成長率程度(3.5%前後)の成長が続くであろう。雇用の回復もあって個人消費は底堅く推移し、企業も好調な収益を背景に生産性向上のためのIT投資などに熱心に取り組むからである。
中国経済は、潜在的な需要が極めて旺盛であること、外貨や労働力の制約がないこと、対内直接投資が技術と資金と販路を提供してくれること、などを考えると、中期的には高成長が見込まれる。投資中心で不安定な面はあるものの、成長率は均せば好不調の境目と言われる7%を超えるであろう。
一次産品の価格は緩やかに上昇していくものの、中国をはじめとする諸国の生産力が増していくことで、世界的な財の需給は緩めで推移し、世界的なインフレ率は抑制された状態が続こう。物価の安定を映じて、各国の金融政策も中立または緩和気味に運営されよう。
円の対ドル相場については、予測は困難であるが、米国経済が好調に推移することを考えると、メインシナリオとして、おおむね横ばいで推移すると想定することは不自然ではないであろう。
金融緩和と緊縮財政up
  日本経済は、景気の回復を映じてすでにデフレを実質的に克服しているが、今後は需給関係の一層の改善が進むにつれて消費者物価指数が明確にプラスになっていく局面を遠からず迎えることになるであろう。そうなれば日銀は量的緩和の解除から利上げを行なうことになるが、昨今の日本銀行の姿勢や置かれた立場などを考えると、利上げを急ぐ力は働きにくいと思われるため、そのペースは相当ゆっくりとしたものとなろう。
今後数年を展望すると、金融政策が緩和的である一方、財政政策は緊縮気味に運営される可能性が高い。財政赤字が巨額にのぼっているなかで、少子高齢化社会を迎えて年金財政の悪化が不可避であるため、緊縮財政の必要性については国民的なコンセンサスが形成されつつあると言え、歳出の抑制に加え、増税も行なわれていくであろう。
現状の財政赤字が巨額であるため、多少の緊縮をしても赤字が巨額であることに変わりはなく、残高ベースで見れば国債が積み上がっていくことは避けられないが、予測期間中については国債の消化に深刻な問題が生じる可能性は小さいであろう。国内投資家の投資行動を考えると、国内資金が雪崩を打って海外に逃避する可能性は小さいと思われ、資金は国債に向かわざるをえないであろう。財政赤字が減少している方向性を市場は評価するであろうこと、金融政策が緩和的に運営されること、なども支援材料となろう。
金融緩和と緊縮財政というポリシーミックスは、財政赤字を縮小させ、長期金利を低位に安定させる効果がある。円高圧力を緩和する効果も期待される。したがって、インフレに対する懸念がほとんど必要ない現状においては、望ましい組み合わせであると言えよう。
個人消費は緩やかな伸びup
  今次景気拡大局面において、企業は雇用増に慎重であり、とりわけ正社員の採用に慎重である。今後、景気が拡大を続ければ、企業の労働力需要は増加していくであろうが、右肩上がりを前提としない経済においては、固定費を変動費化するインセンティブが企業に働くため、正社員を抑制してパートなどで対応する動きは持続しよう。このため、マクロ的な雇用者所得は低い伸びにとどまる可能性が高い。勤労者世帯の消費性向も、現状すでに高い水準にあるため、今後については消費性向がさらに上昇を続けることは考えにくく、横這いか、むしろ少子化などによって緩やかに低下していく可能性が高い。したがって、勤労者世帯の消費には多くを期待できないであろう。
もっとも、高齢者の年金受給額がマクロ的にみれば増加を続けること、このところ高齢者の消費が活発化しており、こうした傾向が今後も持続する可能性があること、などを考えると、消費全体として底割れすることはなく、緩やかながら増加を続けていくであろう。
住宅投資についても、雇用者所得が伸びないなかでは、高い伸びは期待できないが、たとえば都心の不動産がサラリーマンに手が届く水準となっているために都心回帰の動きが広まりつつあるなど、明るい材料も出始めてはいる。こうしたなかで、都心の地価が上昇に転じ始めたことによって、買い控えの動きが止まることも明るい材料と言えるだろう。
家計部門のISバランスとしては、勤労者世帯が横這いないし若干改善する一方で、高齢者世帯のウエイトが高まることが悪化要因としてはたらくため、概ね現状レベルでの推移となろう 。
公共投資は引続き減少up
  公共投資については、おおむね一貫して減少を続けているが、今後についても減少基調は免れないであろう。緊縮財政の必要性が広く認識されていることに加えて公共投資の評判が悪いからであるが、景気が拡大を続けていれば景気対策を求める声も出てこないということも公共投資にとっては向かい風である。今ひとつ、中央から地方への補助金の削減などの動きも、地方財政の悪化を通じて公共投資にマイナスに作用するであろう。地方自治体は基本的に「無い袖は振れない」からである。
政府消費も、緊縮財政化の要請と地方財政の悪化によって、伸び率は抑制されたものとならざるを得ない。医療費負担などの経費は高齢化にともなって必然的に増加していくものの、経費全般について厳しい見直しがおこなわれることとなろう。
政府部門のISバランスは、こうした歳出抑制に加えて増税や景気拡大に伴う税収増も見込まれるため、緩やかに改善していくものと期待される。
設備投資は好調持続up
  景気が拡大を続ける一方で人件費負担は抑制されていくため、企業の収益は好調に推移しよう。収益が好調を持続し、金利が低水準で推移することは、設備投資の追い風となろう。失われた10年の間、企業は設備投資を控えてきたため、設備と負債の過剰感が薄れていることも明るい材料である。こうした中で、気がつくと設備投資を抑制していた間に老朽化あるいは陳腐化している設備も多く、更新投資も盛り上がる可能性が高い。
企業経営者のマインドが好転していること、金融機関の貸出態度も積極化しつつあること、製造拠点を国内回帰させる流れが出来つつあることなども明るい材料である。加えて、都心の地価が戻りはじめたことも買い控えを買い急ぎに転換させる可能性があろう。
負債の返済一辺倒であった企業が設備投資を積極化させれば、企業部門のISバランスは悪化していくことになろう。もっとも、現在のバランスが大幅なプラスになっていること、今後も収益が増加していくことなどを考えると、予測期間中にISバランスがマイナスという「正常な」状態にまで戻る可能性は小さいであろう。
なお、企業収益が好調で金利が抑制されている状態は、株価にとってはプラスの要因であろう。仮に株価が上昇していくとすれば、消費者や経営者のマインドが好転するのみならず、銀行のバランスシートが改善されることを通じた景気へのプラス効果も見込まれる。個人消費に与える資産効果はそれほど大きくないであろうが、高級品などを中心になにがしかの効果は見込まれよう。
外需は成長に中立up
  海外経済が基本的に順調な拡大を続けること、為替がおおむね現状水準で推移すること、などを考えると、輸出は好調を持続する可能性が高い。たとえば中国で設備投資が盛り上がれば、当初は日本から資本財の輸出が増え、生産が始まれば部品などの輸出が増えるであろう。生産の拡大によって中国人労働者が豊かになれば日本製の消費財に対する需要が急速に伸びることも期待できるわけである。日本製品は品質の高さなどから需要の所得弾力性が高いため、アジア諸国の発展は輸出にとってプラス面も大きい。
もっとも、アジア諸国がキャッチアップしてくるにつれて、日本からの輸入に代替できる国産品が増えてきたり、日本への製品輸出が増えたりする効果も見込めるため、日本の黒字が一方的に増えていくわけではない。外需全体としての成長への寄与は、あまり見込めないか、あったとしてもわずかであろう。
経常収支は、実質貿易収支がおおむね横這いにとどまる中で、工業製品に比べて一次産品価格が相対的に上昇することのマイナスと、対外純資産増加に伴う所得収支増加のプラスが見込まれるため、おおむね現状水準で推移することとなろう。
ISバランスという面では、家計部門がおおむね横這い、政府部門が若干の改善、企業部門が若干の悪化、海外部門がおおむね横這いという形が想定されるというわけである。
少子高齢化の悪影響は小up
  少子高齢化が進むと、経済に様々な悪影響が及ぶことは疑いない。もっとも、その裏側でプラスの側面もあるため、今後数年を考える際にはトータルで見た経済への悪影響を過大評価する必要はないだろう。
少子高齢化というと労働力の減少による成長への制約が話題になるが、現在は失業率が高く、労働力が余剰であるため、予測期間(2008年まで)を考えれば労働力の減少は成長を制約する要因とはならないであろう。労働力不足を心配するよりも、むしろ団塊の世代が定年後も労働力市場から撤退しないために労働力が減らず、失業率が下がりきらないという可能性の方が高いのではなかろうか。
団塊の世代の所得が定年により減少することは、個人消費を考えればマイナスに働くが、企業側からみれば団塊の世代の所得の減少はコストの減少であるため、プラスマイナス両面があることに留意が必要である。
年金財政の悪化を食い止めるため、サラリーマンの負担額が増えて消費を圧迫することが懸念されるが、一方で年金を受け取る高齢者が増えることによって高齢者の消費が増える面もある。高齢化による医療費の増大で財政赤字が膨らんだり、それが増税につながったりすることが懸念されるが、医療費の支出は需要の創出で景気を刺激する面もある。
このように考えると、マイナス面と同時にプラス面も見込まれるため、少子高齢化の悪影響は予測期間中に限って言えば、それほど大きくないと思われる。
中期は順調だが長期は多難up
  上記のとおり、今年の成長率は4.5%、来年は2.5%を見込んでいるが、その後については平均2%程度の成長が続くと考えられる。潜在成長率は1%半ばと言われているが、これは90年代の低調な設備投資を前提とした値であり、今後中期的に設備投資が好調に推移すれば潜在成長率自体が高まってくることが期待される。また、景気の波はあるとしても、均してみれば総じて景気のよい状況が続くことから、成長率は潜在成長率を上回り、失業率は徐々に低下していくこととなろう。
なお、デフレギャップが縮小を続けることから消費者物価は上昇に転じるであろう。もっとも、上昇率は低く、GDPデフレーターは概ね横這い圏での推移となろう。
ここまで明るい見通しを記してきたが、留意すべきことが二つある。第一に、上記では比較的望ましい外部環境が前提とされているが、外部環境が想定よりも悪化する可能性があることである。
たとえば、米国経済が減速から後退にいたる場合には、世界経済がグローバリゼーションによって連動性を高めている状況を考えると、日本経済が大きな影響を受ける可能性がある。伝播経路としても実体経済を通じたものと金融市場を通じたものが相乗的に作用する可能性があり、留意が必要であろう。中国経済が過熱と失速を繰り返すようなことがあれば、日本の輸出に大きな影響が出るであろう。
また、過去に何度も大きな為替変動があったことを想起すれば、為替が現状水準で推移するという前提も、実現するとは限らない。大幅な円高になれば景気が腰折れする可能性もあり、一方で大幅な円安になれば、一次産品価格の上昇とあいまってインフレ圧力が高まり、金融の引締めが必要になるかもしれない。
世界的にも国内的にも景気の拡大が続くとすると、大幅な円安にならなくてもインフレになるリスクは否定できない。世界的なディスインフレ傾向が反転する可能性があるのみならず、国内的にも潜在成長率を上回る景気拡大がインフレギャップにつながる可能性もあろう。
しかし、更に重要なことは、予測期間内がある意味で過渡期であって、予測期間終了後に多くの深刻な問題が顕在化してくる可能性が高いということである。少子高齢化にしても、団塊の世代が労働市場から退出するのは予測期間後であり、そうなると労働力不足、経済の活力の低下、ISバランスの悪化、経常収支赤字化に伴う財政赤字ファイナンスの困難化、などなどの問題が顕在化してくるだろう。
そうしたなかで、いかにして財政のプライマリーバランスを達成していくか、途上国の追い上げに対して産業競争力を維持していくか、といった多数の難題への対処を急ぐ必要がある。今後数年間、経済が比較的順調に推移するとすれば、それに安住することなく、先を見据えて長期的な課題への対応をしっかり行なっていくことが求められると言えよう。
  以上です。なお、職場でのレポートなので、前提条件が私見と微妙にズレていますが、結論に影響を及ぼすものではありません。また、本稿は読者に投資などを勧誘するものではありません。念のため。
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