| バブルの後遺症について考えるとき、上記のような現象面での改善と並び、忘れてはならないのが日本人の意識面での変化である。日本人の意識は、バブル期に尊大かつ楽観的になりすぎ、バブル崩壊後に卑屈かつ悲観的になりすぎるといった極端な振れを経験したが、両極端に振れた大きな振り子が最近ようやく戻りつつあるというイメージだろうか。
対米劣等感から「グローバルスタンダードでないから日本はダメなんだ」と言われていたが、最近ではそういう論調は聞かれない。ITバブル崩壊とエンロン事件で米国的システムへの信仰が薄らいだこと、気づいてみれば世界的に注目されている日本企業の多くがグローバルスタンダードを採用していないこと、などが寄与したのであろう。
「構造問題がある限り景気はよくならない」といった論調も聞かれなくなった。景気が回復してしまえば、こうした思い込みは霧散してしまうということであろう。また、こうした議論は市場系の論者に多かったわけであるが、政府の構造改革がソフトランディング路線に転換したことが株価の上昇につながったのを見て、戦線を転換したという面もあろう。
こうした中で、振り子の戻りが遅れているのが景気認識ではなかろうか。日本経済は順調な回復過程にあり、GDPも生産も設備投資も伸び率が米国を上回っているにもかかわらず、日本経済が米国経済よりも好調だという論者はほとんど見かけない(筆者は3月1日号の当欄で「日米再逆転?」と記したが、賛同する意見はほとんど聞かれなかった)。長年の不況で強気派のエコノミストたちが淘汰され、あるいは弱気派に転向したため、表舞台には弱気派のエコノミストしか残っていないのかもしれない。そうだとすると、人々は下方にバイアスのかかった見通しを聞かされ続けることになり、世の中の景況感が回復してくるには今少し時間がかかるのかもしれない。
もっとも、これも時間の問題であり、本当に大型景気が到来するのであれば、世の中の景況感も確実に回復していくことになろう。その時にはじめて、本当にバブルの後遺症から日本経済が解放されたということになるのではなかろうか。
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