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景気の見方読み方
Apr.04

2004.4.1

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ものごとの二面性について

はじめに> <リストラ景気?> <円安は困る?> <デフレは困る?
利上げは景気対策?> <物価連動国債はインフレ抑制要因?> <為替介入で米国は怒る?


はじめに
  多くのものごとには二面性がありますが、片方だけをとらえて議論をする人が少なくありません。今回は、こうした物事の二面性について考えてみましょう。論じ手がうっかりしている場合もあれば、自分に都合のよい面ばかりを強調している場合もあるのでしょうが、いずれにしても読み手としては気を付けたいものです。
リストラ景気?
  最近の景気回復の理由として「企業がリストラに励んだことにより、売上が増えなくても利益の稼げる体質になった。これが設備投資の増加につながったのだ」という説明がなされることがあります。本当でしょうか。
売上が増えないときに企業がリストラをするということは、パイの大きさが変わらないのに企業の取り分が増えるということですから、コインの反対側では給料の減ったサラリーマンがいるわけです。したがって、「企業のリストラによって、企業は利益が増えて設備投資を増やしたが、サラリーマンは給料が減ったので個人消費を減らした。結果として景気は前とかわらなかった」というのが理屈です。
そうであれば、何故個人消費が減らなかったのかを説明しないと、何故景気がよいのかを説明したことにはならないのではないでしょうか。筆者は、今回の景気回復の影の主役は「給料が減ったのに減らなかった個人消費」だと思っています。
戦国大名が南の隣国を攻めるために兵隊を北の国境から南の国境に移したとしましょう。結果として南国を攻め取ったとして、偉いのは「圧倒的な兵力を与えられて何の苦もなく南国を攻め取った南の指揮官」でしょうか、あるいは「減らされた兵力で北の国境を守りきった北の指揮官」でしょうか。
円安は困る?up
  円安になると、輸入原材料を使っている企業が「コストアップで大変だ」と騒ぎます。マスコミも困った話の方が売れるので、困った話を中心に書きます。すると、円安で日本経済は転覆するように思う読者が出てきます。しかし、コインの反対側では円安で儲かっている輸出企業が黙っているわけです。
この話の問題点は、円高になった時のことを考えれば明白です。円高になれば輸出企業が大変だと騒ぐでしょう。一方で輸入原材料が値下がりして儲かっている会社は黙っているでしょう。したがって、マスコミの報道だけを聞いていると、日本経済は円高でも円安でも転覆してしまうように思えるわけですが、そんなはずはないでしょう。
デフレは困る?up
 

「デフレになると企業は売値が下がって困る。借金をしている企業にとっては、返済の負担が重くなるので、ますます困ることになる」という人がいます。そういう面はあるでしょうが、コインの反対側も見る必要があるでしょう。
「企業にとって、売値が下がることは事実だが、仕入れ値も下がっているに違いない。人件費もデフレを口実に引き下げることができるかもしれない。借入金利も下がるだろう。企業にとっても困ったことばかりではないはずだ」「企業は売値が下がって困るだろうが、消費者は買値が下がって喜んでいるはずだ」「借金のある人は返済の負担が重くなって困るだろうが、預金のある人は同じ金額で買えるモノが増えて喜んでいるはずだ」といったことも考えた上で、総合的に判断して「デフレは日本経済にとって本当に困ったことなのか」を判断しなければならないわけです

利上げは景気対策?up
  1金利があがると、預金をたくさん持っている人が金利がたくさんもらえるようになりますから、消費が増えて景気にプラスにはたらくでしょう。そういう面はたしかにありますが、日銀が金利を上げれば景気がよくなるというわけではありません。
借金をしている人は金利の支払いが増えるため、消費や投資を減らすでしょう。これだけで預金している人のプラス効果がほとんど消えてしまうわけです。さらに、借金をしようとしている人が「こんなに金利が高いならば借金をして工場を建てるのはあきらめよう」ということになり、景気は悪くなるわけです。
物価連動国債はインフレ抑制要因?up
  「物価連動国債が大量に発行されると政府がインフレ抑制に真面目に取り組むようになる」という人がいます。「インフレになると政府の支払額が増えるので、政府はそうした事態を避けようとするからだ」というわけです。しかし、これには二つの問題点があります。
第一は、インフレになると税収も増えるので、物価連動国債の支払額が増えても政府は気にしないということです。したがって、インフレ抑制要因にはならないのです。
第二は、短期国債を大量に発行している場合と物価連動国債を大量に発行している場合の政府の立場は似ているので、物価連動国債の発行によって目新しいことが起きているわけではないということです。ある年に物価が10%上昇したとしましょう。物価連動国債の償還額は10%増えます。一方、物価が10%上昇しているときには、日銀が景気を冷やそうとして短期金利を10%以上にする(実質金利をプラスにする)でしょうから、短期国債も利率を10%以上にしないと発行できなくなるわけです。したがって、この場合でも国の支払い総額は10%以上増えるわけです。
為替介入で米国は怒る?up
  日銀が大量に介入していることで、米国が「為替相場を円安にして輸出を増やそうとするのは不公正だ」といって怒るのではないかと心配している人がたくさんいます。一方で、日銀が介入によって買ったドルで米国債を大量に買っていることが米国の長期金利を押し下げて米国の景気を支えている要因だといっている人もたくさんいます。日銀が介入すると米国は怒るのか喜ぶのか、両面あるわけです。
  以上です。なお、上記は筆者個人の見解であり、筆者の属する組織などの見解を示すものではありません。また、読者に投資などを勧誘するものでもありません。念のため
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