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ある村長が、オオカミに教えを請いました。オオカミは言いました。「村長は羊たちにやさしくしすぎるからいけないのです。村の羊たちをよく見て、御荷物になっている羊たちを村から追い出しなさい」。村長がその通りにすると、村は強くなりました。長老は「困ったものだ」と思いましたが、若者たちは「やはりオオカミの真似をする必要がある」と考えました。若者たちは、「仲間にやさしくするのはやめよう。これからは強くなって戦いに勝たなくてはならない」と考えはじめました。
弱い羊を追い出すことが悪いことだと思う若者が減ってきたので、弱い羊を追い出す村長が増えました。そのうちに、強い羊ばかりを集めた村が隣の村を占領するようになりました。長老は、いくさの役に立たないお荷物だということで、村から追い出されてしまいました。
羊たちは、懸命にいくさの訓練をはじめましたが、急に強くなれるはずはありません。ある村が、オオカミに大金を払って戦いに来てもらうと、その村が急に強くなったので、他の村も真似をしました。オオカミたちは、強い羊を訓練し、弱い羊を追い払い、がんばって強い村をつくりましたし、自らもがんばって戦いました。こうして、生き残った村はどこも強くなりましたが、羊たちは幸せではありませんでした。長老は「だから言ったことではない」と思いましたが、若者たちは「とにかく戦わなければ村が滅びてしまう」と考えて、いくさに明け暮れていました。
ある日、長老は夢を見ました。それは、おそろしい夢でした。
いくさに勝った羊たちは、オオカミの子分になって、かろうじて生き延びていましたが、いくさに敗れた羊たちは、オオカミたちのご馳走になっていました。
長老は、嘆きました。「皆が仲良く暮らす国は、住みやすいけれども弱い国だ。皆が戦いながら暮らす国は、住みにくいけれども強い国だ。住みにくい国だけが残って住みやすい国が滅びてしまうなんて、なんて悲しいことなんだろう」。
そのとき、命からがら逃げてきた若者が長老に聞きました。「長老、私たちは何を間違えたのでしょう?オオカミの真似をして強くなろうとしたことでしょうか?オオカミを島に連れてきたことでしょうか?あるいは、その昔に仲良くしすぎてキバをみがかなかったことでしょうか?」
「羊は羊らしく暮らすのが一番だ」と答えたところで長老は目をさましました。
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