景気の見方読み方
Dec.02

2002.12.1

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日本経済の起死回生策

はじめに
 

 需要不足、高齢化など、日本経済は従来型の発想では打ち破れないような重石をたくさん抱えています。そこで今回は、日本経済の起死回生策について、奇想天外なアイデアを書き並べてみました。いずれも実現するとは思いませんが、皆様の頭の体操のお役には立てるかもしれません。

(1)大胆な出産奨励策。
  子供を生んだ夫婦は極端に優遇する。たとえば10年間にわたって100万円ずつ育児手当を支給する、年金受給権を優先的に付与する、など。くわえて、保育園などを大幅に増設し、すべて無料で提供する。
     子供は親の消費を強制できるほとんど唯一の存在です。したがって、需要不足経済において、子供の数が増えることは、極めて有効な景気対策となるでしょう。加えて、彼らは親の世代を年金で養ってくれるわけで、子供の数が増えれば、将来の最大の問題である年金危機が緩和されることも期待できるわけです。年金不安が薄れることで、老後に備えて貯蓄に励んでいる人々の財布の紐が緩むことも期待できるかもしれません。
  公共投資や減税を減らしてでも、出生率を高めるための出費を行なうべきです。育児手当に関しては、子供を持つ世帯は消費性向が高いので、「減税をしても貯蓄にまわって景気対策にならない」といった問題は生じませんし、「無駄な道路や橋が増えるだけ」という問題も生じません。保育園増設などの費用に関しては、直接的に雇用を創出する効果が期待できるというわけです。
(2)雇用保険に条件をつける。up
  失業しただけでは雇用保険を受取れず、パソコン教室か英会話教室に通った失業者だけが日当のかたちで保険金を受け取れるようにする。もちろん、病気やケガで失業した人は、例外とする。
    雇用保険は重要です。人々が安心して暮らせるためには、失業しても最低限の生活が保障されることが重要です。一方、日本経済の発展のためには、人々がパソコンや英会話などを学ぶことが重要です。そこで、時間的な余裕がある失業者にパソコンや英会話を学ぶインセンティブを与える政策が有効となります。
 失業者たちがパソコンなどに習熟すれば、再就職の機会も増えるでしょう。パソコン教室が教員を増員すれば、それ自体が雇用対策になるでしょう。
  パソコン教室などの費用は、国が負担する必要があるでしょう。失業者に払わせるのは酷だからです。その分だけ財政の負担が増えるわけですが、その分だけ公共投資を減らせば、税金の使い道が改善されるのではないでしょうか。
  パソコンも英語も嫌だという方には、介護の資格をとってボランティアに参加してもよいことにしましょう。それ自体が世の中の役に立つことですし、失業者自身にとっても、介護という今後の日本が最も労働力を必要とする業務に精通することができ、これも再就職の機会を増やすことにつながるでしょう。
(3)高級官僚を内閣府所属に。up
  高級官僚には高い見地から天下国家を論じていただきたい。ついては、各省をローテーションしていただき、視野をひろげていただくとともに、個別の官庁の発想に染まらない柔軟な発想をしていただく。
     人の上に立つ人には、広い視野を持っていただきたいと思います。そのためには、さまざまな経験をしていただくことが重要だと思います。海外留学、民間企業への出向、他省庁への出向など、いずれも視野を拡大させてくれるものだと思います。
  しかし、何と言っても本籍地を各省ではなく内閣府に移すということが重要なのではないでしょうか。ある官庁に本籍を置いたままで他省庁などに出向しても、どうしても本籍地の発想でモノを考えてしまうという人も多いでしょうし、それでは本当の意味での柔軟な思考はできにくいかもしれないからです。
  また、高級官僚の中には、省利省略を国益よりも重んじる方もいらっしゃるかもしれません。そういう方こそ本籍地を内閣府に移っていただき、旧本籍地と利害の対立する相手省庁に異動していただけば、自然と発想が変化していただけるのではないでしょうか。
 もっとも、高級官僚の御仕事のなかで、全体観よりも専門性を必要とする部分もあるでしょうから、こうした部分については、高級官僚待遇の専門官といった職を設けることも検討に値するかもしれませんね。
(4)相続税を100%に。up
  国民総背番号制を導入したうえで、相続税率を100%とする。海外に保有している資産についても当然に相続税の対象とする。消費税などは、税率を引き下げる。一方、老後の不安を和らげるため、年金や老人ホームなどは大幅に充実させる。
   日本でオカネを持っているのは高齢者です。彼等がオカネを使わない理由の一つに「子供に遺産を残したい」という動機があると言われています。したがって、その動機を奪ってしまえば高齢者がオカネを使うようになるでしょう。オカネを稼いだひとは、子供や孫に遺産を残すかわりに、子供や孫と一緒に贅沢をエンジョイすればよいのです。決して「弱いものいじめ」ではありません。むしろ反対に、「お年寄りの皆さん、あなたが貯めたオカネなんだから、あなたのために使いましょう」というやさしい語りかけになるわけです。
  もっとも、高齢者にとっては「何歳まで生きるかわからないので、貯金を全部使ってしまうのは不安だ」という意識が強いでしょうから、年金や老人ホームなどを大幅に充実させ、高齢者の不安を取り除く必要があるでしょう。
  一つの可能性として、「65歳時点で全財産を保険会社に払い込む。保険会社は払い込まれた金額を平均余命で割った金額を毎年支給する」というビジネスが生まれてくるかもしれません。早死にする人と長生きする人を平均すれば、保険会社として損はないからです。「家屋敷については、保険会社の所有になるけれども、生きている間は住み続けることができる」ということになるのでしょうね。
  相続税逃れのために資産を海外に移す動きが出て来るかもしれませんが、致命的な問題ではないでしょう。筆者は徴税実務に詳しくないので、どこまで確実に徴税できるのかわかりませんが、幸か不幸かテロ対策として外国送金が厳しく監視されるようになっていることを考えると、あるいは国民総背番号制が有効に機能すれば、それほど巨額な資金逃避は起きないのかもしれません。また、仮に資金逃避が起きたとしても、資産を海外に移す動きは円安をもたらしますから、景気にはプラスに働くということも、安心材料でしょう。
(5)貸し渋り対策ファンドを作る。up
  「銀行が貸し渋っている」と主張する人々に資金を出し合ってもらい、「銀行に貸し渋られた企業」に融資するためのファンドを作る。
   「銀行が貸し渋っている」という主張は、「借り手に返済能力があるのに銀行が貸さないのはけしからん」ということでしょう。これは「銀行が経済合理的に行動していない」という主張です。そうであれば、「返済能力があるのに銀行が貸していない借り手」に融資をすることで、利益を挙げるチャンスがころがっているということになります。
  そこで、こうしたチャンスを活かすファンドを作ろうというわけです。「銀行が貸し渋っている」と主張する人々から資金を集めて、「返済能力があるけれども銀行から借りられない企業」に融資をしようというわけです。
  筆者個人は「銀行はそれほど馬鹿じゃない」と思っていますので、そうしたファンドには出資しませんが、筆者と主張の異なる人が多いことを考えると、結構な規模になるかもしれませんね。
(6)経済的な革命を起こす。up
  銀行に不良債権の処理を徹底させ、効果の小さい公共投資などはすべて中止する。銀行による債権放棄を禁止して、市場メカニズムによる借り手の淘汰を推進する。
   平和な時代が長く続くと、様々な既得権(時代にあわなくなった制度でも、それにより利益を受けている人が反対するために変更できずに残ってしまうこと)が生まれ、育ってきて、経済の活力が失われていきます。特に日本のように争いを好まない文化の中では、既得権を剥奪しようと言う動きが出にくいこともあって、身動きのとれない状態にあると言えるでしょう。こうした状況を一変させるには、明治維新や戦後のパージにも比肩する経済的な革命を起こすことが早道です。
  銀行が不良債権処理を徹底すれば、担保不動産の処分が相次ぎ、不動産価格が暴落し、どの銀行も不満足な回収しかできずに大きな損を被るでしょう。経営不振の会社が次々と整理され、失業者が増えることで景気が悪化し、経営不振でなかった会社も経営不振に陥るでしょう。こうして次々と会社が整理されていき、日本経済は大不況に陥るでしょう。そうなれば、既得権を持った諸勢力も没落し、日本企業はタダ同然で外資系企業に買収され、日本中の社長はゴーン氏のような外国人になるでしょう。そうなれば、既存のしがらみ等にとらわれず、あたらしい理想の姿が実現していくのかもしれません。
  筆者は個人的には平和主義者ですから革命は好みませんが、一つの選択肢としては検討に値するでしょう。幸か不幸か、こうした結論を想定せずに不良債権処理などを主張している人も多いため、実際に革命が起きる可能性も無いとはいえないでしょうね。
 
このほかにも、「都市新党を作り、農村と対決する。農業保護をやめて農産物輸入を自由化すべし、都市で徴収された税金は都市で使うべし、といった政策を掲げる」、といったアイデアもあります。もっとも、過疎と過密の問題を悪化させてしまうリスクを回避していく名案が浮かばないので、起死回生策とは言えないかもしれませんね。
  今回は以上です。私個人の見解であり、私の属する組織などの見解を示すものではありません。また、読者に投資などを勧誘するものでもありません。念のため。 (Nov.2002記)
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